- SATOMI CLINICAL RESEARCH PROJECT -
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代表理事國頭英夫が1月15日の朝日新聞朝刊『ひと欄』で紹介されました

(ひと)國頭英夫さん 過剰医療を抑えるためのプロジェクトに乗り出す医師

 画期的な治療薬は医療費の高騰も招く。がん治療ならひとり年間1千万円以上だ。いまは国民皆保険で自己負担額が抑えられているものの、保険の支え手である現役世代の負担はもはや限界に近い。

 「世界に誇る日本の医療制度は氷山に突き進むタイタニック号。豪華な旅を楽しんでいる余裕はない」。10年前そう声をあげ、治療のコストも考えるべきだと訴えたが「医者の考えることではない」と無視された。患者は治療の縮小を恐れ、病院は収益減を嫌がる。そして製薬会社もできるだけ薬を使ってもらいたいからだ。

 効率的な治療方法で医療費を抑える方法はないものか。そう考えて昨年、非営利型一般社団法人SATOMI臨床研究プロジェクトを同志と立ち上げた。治療成績を落とさずに薬の投与量や治療期間を見直すための臨床試験、治療後の患者の追跡調査に取り組む。

 「医療をバラ色の未来にするためではなく暗黒の未来にしないための試みです」。製薬企業や政府からの支援は期待できない。研究資金は一般から寄付を募る。

 がん患者への告知をそれがタブーだったころから始め、医療の腐敗を描く小説「白い巨塔」にちなむ筆名・里見清一で週刊誌に辛口の医療・社会時評を連載する名物医師だ。小説が原作のドラマ監修も2回担当。次は自ら主役として医療費という巨塔に立ち向かう。

(文・原真人 写真・本人提供)

[出典:朝日新聞 2022年1月15日朝刊]