Optimal Cancer Care Alliance(OCCA)は、そうした過剰治療を正し、患者さんのための最適な(”optimal”)治療を目指そうという団体で、以前はvi3cという名前でしたが2021年に改称されました。理事長はカナダの有名な医師であるイアン・タノック教授で、理事にはアメリカ・カナダ・イギリス・イスラエルなどの医師が名を連ねています。いずれも癌治療では国際的に名の通った、超一流の専門家です。
“Value”の意味ですが、これまでの薬の価値は「効果/副作用」の評価でしたが、これからはコストも計算に入れて考えるべきです。つまりvalue=「効果/(副作用+コスト)」として捉えるべきで、米国のレオナルド・ザルツ博士が提唱されました。アメリカでは公的保険が日本に比べて整備されていないため、高額薬剤が個人への影響として問題になっており、ザルツ博士らが発起人になって、”Value”を重視した治療開発のための「Value in cancer care consortium(vi3c)」という学術団体も立ち上がりました。
その他、地味ですが、非常に大事な研究として「治った患者さんがどうなるか」という追跡調査があります。小児がんに関するそうした研究報告の一つに対しては、私が編集長を務める学術誌(Japanese Journal of Clinical Oncology)が2019年に論文奨励賞を授与しましたが、こうした研究は製薬会社からのサポートも受けづらく、資金的には厳しい状況です。
國頭 もちろん簡単ではありません。こうした研究には製薬企業からの支援は望めないし,患者側の協力も得にくい。一方で,特に米国などは公的医療保険制度が脆弱で,個人がコストの影響をダイレクトに被るので危機感が強いのでしょう。こういった研究を推進し,がん治療へのアクセスや持続性を向上させることを目的として,value in cancer care consortium(vi3c)という非営利団体が創設されています。
2012年にザルトラップRという薬が大腸癌に対して米国で承認された時,メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターが「既存薬と効果が同等で値段が倍もする新薬を当院では採用しない」と公表して大騒ぎになりました。その経緯をザルツ先生らがニューヨーク・タイムズ紙(2012年10月14日付)に寄稿しています。その中で「2013年の米国におけるザルトラップRの予想売上は約1億5千万ドルで医療費全体の0.005%相当。この薬の使用を止めても,そのまた一部を節約するに過ぎない」と述べたあと,“But it is a step in the right direction――one of many we need to take”と結んでいます。
SATOMI臨床研究プロジェクト理事の武井秀史先生が、9月8日~14日にオンライン開催された第22回世界肺癌学会議にて、高齢者肺癌患者における術後活動度の調査研究の結果を発表しました。演題:Prospective observational study of activity of daily livings in elderly patients after lung cancer surgery(肺癌手術後の高齢患者における日常生活活動度の前向き観察研究)内容は下記でご確認頂けます(英語版抄録)